意識的に五感を使ったころ。

 忙しくしていると、なかなか、自分の五感を意識的に使うことがなくなってくる。それは、感覚の低下にももちろんつながっている。まあ、忙しくしている理由は、仕事だったり、ゲームだったりするのだけれど。
 あれほど聴いた音楽たちも、ハードディスクの片隅で、保存され、時々、室内の雑音との防御壁になるだけだ。そのとき自分は、何かほかのことに傾注している。読書も好きだった。高揚していく自分を感じながらページをめくることに没入していた。でも、1冊を読み終えるまで、読むと言うことを続けることができない日が来て、自分は読書をやめた。断片的な文章を何かを知るために読むようになった。
 あのころ味わった高揚感、高ぶる自分と向き合うことはもうないのかな? と寂しくなる。車の中で、データになってしまった曲を、大音量で流しても、なぜか心が埋まらない。
 
 ということで、月並みだけれども、自分の心を満たす何かを探したい。